第8章 指導教授に異変、誘拐に遭う!

黒谷優の瞳の奥で、昏い感情がどろりと渦を巻いた。南坂海乃と野口颯汰が笑い合いながら人波に紛れ、美術館へ入っていくのが見える。

声には、わずかな冷たさが滲んだ。

「俺たちも入るぞ」

佐藤詩乃はこくりと頷き、わざとらしいほど自然な仕草で男の腕に絡める。二人は肩を並べ、美術館へと歩いた。

詩乃の胸には、さっき目にした光景が引っかかったままだ。視線を揺らし、冗談めかして口にする。

「黒谷優。お姉さん、暴漢に襲われて怪我したって言ってたよね?」

「なのに、なんで大人しく療養してないの? 男友だちと画展なんて、よく行く気になるよね」

その言葉に、黒谷優は眉間をきつく寄せた。胸の中の疑念が、...

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